エグモントのヘルパー制度(パーソナルヘルパー)
エグモントのヘルパー制度
重度の障害者に対して、トイレ、入浴、車の運転などの日常活動の援助を社会サービス法77条に沿って行っている。ヘルパー制度を使って、自分のアパートに住んでヘルパーを雇って生活する、そのように介助者をつけて雇えるように、生徒達を教育している。違うのは、保護された環境のもとで生活しているということである。ユーザーの生徒に関してもプロとは言えない。このユーザー生徒である重度障害者は親元から来た人や、施設から来ている。雇用主の経験がまだない。そしてヘルパー生徒も資格がなくていい。ただ、したいという希望があればいい。ヘルパーを雇うまで
1. ユーザー生徒が希望を出すと、学校ではどの程度の介助が必要なのかということを判定する。典型的な人数は、2〜3人のヘルパーを必要としている生徒で、2人のヘルパーは週74時間、3人のヘルパーは週111時間のヘルパーを雇うことができる。費用は学校ではなく、ユーザー生徒の出身地の自治体が支払う。
2. 学校が始まる一ヶ月前に新聞に「ヘルパーをしながら学校にきませんか?」という広告を出して募集すると60〜70人の書類がくる。
3. その中から、ユーザー生徒が5、6人をピックアップする。そして、インタビュー面接をしてヘルパー生徒を決める。
4. ヘルパー生徒とヘルパーを雇ったユーザー生徒は、学校が始まる一週間前に特別講習を行い、その一週間で、食事、外出、ベッドなどの介助の仕方の練習をする。
5. 同時に、以前の生徒を呼んで、彼達の経験を話す。
6. そして、学校の授業が始まるまでに一通りのことができるようになる。ヘルパー生徒の仕事
ヘルパー生徒の仕事時間は、ユーザー生徒の起床から就寝まである。週末を含むが、就寝中と授業中は含まない。就寝から起床まで介助が必要な場合、学校に雇われている在宅ケアスタッフがトイレ介助や寝返りなどをする。授業時間中は学校で雇われたヘルパーアシスタントがヘルパーをする。ヘルパー生徒もユーザー生徒も一緒に学校で学び、好きな科目を選択できる。ヘルパー生徒に望むもの
経験しながら学ぶというヘルパー制度の機能が望まれるが、ところが、このヘルパー制度は高校を出たばかりで、経験がない生徒が多い。若いヘルパー生徒たちは、母性心を持った子が多いので、母性心を持って仕事をする。ところが、2ヶ月経つと、当初の熱情が覚めてきて、ユーザー生徒にとっては、自分のヘルパー生徒を見つけるのが難しくなる。
ユーザー生徒の多くはこの学校で、よい友だち、あるいは恋人を見つけたい!と思っているかもしれない。これまでの長い経験で、たくさんの友だちを作っているというのは確かだ。同じ世代、年齢ということもプラスになっている。
ここには、いろんな専門職の人が介助をしたいという希望がある、ところがここは同じ年代の友だち作りという面から、そういう人は入れないようにしている。職業専門的な人たちは、ユーザー生徒にとってマイナスになる時もある。2度と自分のヘルパー生徒をみたくないという人もある。
ここに雇われたヘルパー生徒たちは福祉の分野で働きたいという希望を持っている。学校を修了した後は、福祉の分野で働きたいと言う人もいるし、絶対嫌だと言う人もいる。自分がヘルパーとして試す場所、機関でもある。ユーザー生徒の方でも9割が上手く行く。残りの1割に問題がある。ユーザー生徒とヘルパー生徒の問題と対応
スーパーバイザーの役割をしている先生が2人いて、スーパーバイジングをしている。このスーパーバイジングは、「何が上手くいっていますか?」「もし問題があるとすればどういうことですか?」など生徒を前にして端的な質問をする。大半の部分は、上手くいっている。
ところが、まず、ユーザー生徒の問題として、
・悲しいことがあっても上手く言葉で言えない。
・ それが上手く言えないから、私は自分のヘルパー生徒が好きじゃないという言い方をする。
・ そこには、ヘルパー生徒が一方的に決めてしまうことに問題がある。
よくある問題として、いつベッドに入るかヘルパー生徒が決めてくる(理由として、ユーザー生徒が寝たら自分が自由になるから)。ヘルパー生徒は週37時間の労働時間はあるが、いつユーザー生徒がベッドに入るのだということをヘルパー生徒が決めてはいけない。例外として、就寝時間は決めてはいけないのだけれど、中には早くベッドに入りたいと希望するユーザー生徒がいて、そういうときには、もうちょっと起きていられるように促す必要がある。ユーザー生徒がヘルパー生徒との間で生じる問題は、主に、
1、 ヘルパー生徒が決めてしまう。
2、 相性が合わない。
3、 上手く食事が口に運べない。
4、 話ができない。
5、 コミュニケーションができない。
などが挙げられる。
例えば、昨年の例。自分のヘルパー生徒が好きじゃないという、脳性麻痺のユーザー生徒がいた。話し合いの場を設けても話にならない。ヘルパー生徒のことを名前でなく彼女と代名詞を使う。ユーザー生徒が間違いじゃないかと指摘しても、ヘルパー生徒が自分の間違いを認めないことが原因だった。学校で間に入って、2人を離した。
介助で問題になることはそれほどないが、問題が起こるのは心理的なものだ。時には、女友だち2人がヘルパー生徒となって、1人のユーザ生徒につくことがある。ユーザー生徒は自分がのけものにされたと思ってしまうことがある。これまでの経験からいうと、3人のうち1人は男性、2人が女性という組み合わせの方が上手くいっていた。
スーパーバイジングの時はとにかく、悩んでいるか、嫌いか、いらだちを感じているか等両者の話を聞く。
具体的な問題が起きた時、例えば、ユーザー生徒は、夜中2時30分まで起きていたい、ところがヘルパーは早く寝たい、という希望があったとする。話合いをして、12時以降は、在宅ケアの人に就寝の介助をしてもらう約束になった。けれどもここで問題が解決したとは限らない。早く寝たいと言った裏には、本当はヘルパー生徒を好きじゃなくて、ベッド介助をそのヘルパー生徒にしてもらいたくないから、遅く寝たいいと言ったかもしれない。同行者制度
エグモントには、全体で約100名の生徒がいて、12名の介助を必要としている生徒がいる。その他に10名の生徒が同行者制度と利用している。
同行者介助は、町に出るのに同行者が必要であるが、パーソナルヘルパーまでは必要ではないという生徒に対しての介助である。ほとんどの場合、学校で雇われているヘルパーアシスタント(教員アシスタント、ヘルパーティーチャーが同行する。